夢は結婚すること。フィリピン経済を支える1人の家政婦さん物語

フィリピンの家庭には、たいてい家政婦さんがいると言われています。

女性の社会進出が世界でもかなり進んでいると言われていますが、その背景にはこの”家政婦さん”の存在が大きく関わっています。

ぼくのホームステイ先にも家政婦さんがいたので紹介します。

フィリピンの家庭と経済を支える家政婦さん

ソファーで仲良く映画鑑賞

ミミは、まだ高校を卒業したばかりのティーンエイジャーですが、今日は、ヴィヴィアンについて話をしたいと思います。

彼女は、ぼくがホームステイを始めて2日目の朝にやってきました。シャーリーの彼氏アドネスの実家の隣人という事で紹介されたそうです。

前からいたんじゃないの!?と思うくらい家族との距離が近く、約30歳ほども年齢の離れたミミともすぐに仲良くなっていました。上の写真を見てもらえば分かりますが、かなりの親しさです。笑

停電したのでロウソクを灯して料理中

ぼくにも気さくに話しかけてくれ、すぐに仲良しに。

中絶できずに隠し子を育てる運命

お酒を飲みながら談笑していたある日の夜、突然、彼女がこれまで歩んできた人生を話しはじめました。

実家があまり裕福ではなかった為、高校を卒業してすぐに首都マニラで家政婦として働きはじめたと。そこで主人の弟に気に入られ、恋愛関係に。

その人との間に子供ができてしまいました。

しかし、妻子持ちだから結婚はできません。カトリックの国なので中絶もできない。

他に選択肢がなく、隠したまま、子供を育てる事なってしまいました。

お金は援助してもらえたので子供を育てることはできましがた、実家の家族が病気にかかり地元のバコロドに戻る事になってしまった。

子供は既にマニラの学校に通い始めていたため、そこでお別れをしなければならなりませんでした。現在、子供は大学生なのだが、なかなか会えなくて寂しい。

唯一の夢は結婚すること

そして最後に「私の夢は、結婚することなの。」と教えてくれました。

子供はいても、彼女はまだ結婚したことがないのです。

それを聞いてぼくは、ううう。と泣いてしまいそうになりました。

正直、それがどこまで本当の話かは分かりません。お酒が入っていたので多少の誇張はあるでしょう。だけど、なんだか悲しくて悲しくて涙がこぼれそうになってしまったのです。

家が貧しかったため学校に行けずすぐに働いた。その先で子供ができたが、訳あって子供を1人で育てなければならなかった。苦労して育てたにも関わらず、子供とは離ればなれになった。しかも、未だに、何十歳も離れた女の子と一緒に住み込みで家政婦として働いている。

これがもし、日本で起きた出来事だとしたら、みんなどういう風に感じるだろうか。こんな悲しい出来事があっていいのかと怒りと悲しみに震えるのではないでしょうか。

だけど、不思議なことに、ビビアンには全く悲壮感がありません。そんな壮絶な人生を歩んでいるにも関わらず、誰かを恨んでいるような負のエネルギーも感じない。それはそれで仕方がないじゃん。とでも言うかのように毎日ニコニコ楽しそうに生きています。

ぼくには、それが不思議でたまりませんでした。

親戚付き合いの多さがセーフティーネットに

思い切って尋ねて見ました。すると、タブレットに入っていた映像を見せてくれました。そこには、姪っ子たちがケラケラ笑いながら楽しそうに踊っている姿が映し出されていました。

「嫌になったら仕事はやめればいいのよ。実家に帰れば可愛い姪っ子達がいるしね。働かなくても別に死なないわよ。」

ココにフィリピンの懐の深さを感じました。

働かなくても別に死なない。誰かが助けてくれるし、自分が困った時には助ければいい。職場以外にも、自分の社会的な役割を果たす場所がある。

日本を捨ててフィリピンに渡りホームレスになるも、現地の人たちに助けられ生きている日本人たちの実情を描いた本「日本を捨てた日本人」の世界が夢物語ではなく、現実として存在できる理由が分かった気がしました。

ぼくが一番疑問だった「どうしてフィリピンの人は、決して裕福とは言えない生活をしているのに自分より幸せそうに見えるのだろう」という疑問を解く鍵がここにあるような気がしました。

ABOUTこの記事をかいた人

現代アート好きドローンライター。日中英で影響力を持つ人物になるべく瞬発力を鍛える日々です。岐阜出身、大阪芸大卒。フィリピンで英語習得後、助成金を得て渡米、NYで修行しました。執筆実績:LIG,グノシー,DRONE MEDIAなど