マーケティングに頼るな、自分を見ろ!媚びない圏外編集者・都築響一

出版というメディアは終わっているのだろうか。僕はそう思わない。終わっているのは出版業界だ。

「POPEYE/ポパイ」「BRUTUS/ブルータス」の編集を手がけ、東京で一人暮らしをする若者のリアルな生活部屋を写真におさめた「TOKYO STYLE」などで知られる、スーパーフリーランス編集者・都築響一(第23回木村伊兵衛写真賞受賞作家でもある)。

出版不況、活字離れ、いろいろ言われるが、結局のところ、雑誌が売れない責任はすべて、ツマラナイ雑誌をつくってる編集者にある。

とは言え、愛すべき雑誌が次々に廃刊していくことは、雑誌の愛読者でもある都築響一氏にとって由々しき事態である。危機的状況にある出版業界に”一つの出口を見せること”を目的に書かかれた「圏外編集者」

基本的には本作り・編集に関する内容だが、すべての表現者へのエール本的な要素もふくまれていたので、気になった部分をピックアップして紹介します。

会議とは集団責任回避システムである。つまり無駄!

つまらない雑誌を生むのは「編集会議」のせいだと思う。つくづく。どの出版社でも、場合によっては営業部も参加して会議で企画を決めるのが普通ではないだろうか。例えば毎週月曜日の午前中、ひとり5個アイディアを出して、それを全員で検討とか。それでアイデアひとつずつを「これはおもしろくない」とか潰し合っていって、残った採用案を「これはお前が担当」って割り振る。その視点で取材のモチベーションでゼロだから。

みんなで話し合って決めたことは、ツマラナイ。

だいたい、組織に所属しようなんて思う時点で、どこか寄りかかりの精神があるのだろう。そんな頑張っても頑張らなくても同じ給料もらえるような状態を選ぶような人が、いくら会議したって、尖ったもんなんか作れるわけがない。

「通る企画」なんて、みんなに分かる企画だし、説明するにも事例とかつかわないといけない。事例があるって時点で、誰かがやってるってこと。おもしろい!という保証があるから取材するんじゃなくて、おもしろいかも!と思うから現場に行くわけで。

会議と面白い企画は、水と油。そもそも、合わない。つまり、時間の無駄。

読者層を決めるな!自分のリアルを追求しろ!

その編集長から教わったことは色々あるけど、一番身に付いたのは「読者層を想定するな、マーケットリサーチは絶対にするな」だった。知らない誰かのためなく、自分のリアルを追及しろ、と。それが僕の編集者人生のスタートだったのかもしれない。たとえば女性誌を作るとする。「この雑誌の対象は25〜30歳の独身女性で、収入はこれぐらいで・・・」とか、読者層を想定する。そのその瞬間に、その雑誌って、終わるよね。だって自分は25歳〜30歳の独身女性じゃないから。

これはなかなか、刺さった。

なぜなら、自分がWEBで記事を書くときは、必ず読者層を想定するからだ。これはWEBマーケティングの基本でもある。徹底したマーケティングをして、彼らがなにを求めているかを考えて、それにあったコンテンツを提供する。

大阪芸大にいた頃は、マーケティングなんかクソ食らえ!と思ってたけど、最近は、ぼくも、自分の内側から溢れ出してくる好奇心よりも、見たこともない「読者」と呼ばれるものを想定して、記事を書いている。

自分が本当に面白いと思って付き合っている人に、メジャーな人は少ない。世間的には、珍獣とか、奇人とか変人とか呼ばれている人たちが多い。彼らと付き合っているときに起こるハプニング、珍道中には刺激がつまっている。

そこを書けばいいのだけど、お金になるかなあとか現実的な心配をしてしまっている。自分のリアルを追求できていない。だから、この文章にはやられた。

センスと行動力だけの勝負!インターネットが世界を変えた!

インターネットが全てを変えてしまった。アーティストとリスナーがSNSで直接つながれて、世界のどこでも同時に画像や動画や音源が共有でき、参加もできて。ワンクリックで日本中どこにでもAmazonの箱が届いて。そこにはもはや「東京」と「地方」のタイムラグも「専門家」と「一般人」のタイムラグも存在しない。

インターネットの登場により、あらゆるコストが劇的に下がった。

前回ブログで紹介した「Canva」のように、デザインの知識がない素人でもプロと同等レベルの素材を簡単につくることができるようになっている。技術の習得にかける時間が削減されたのだ。

重要なのは「センス」と「行動力」この2つだけ。

専門家と呼ばれる人は、案外、本ばっか読んでて現場に足を運ばないから、フットワーク軽く動ける小さな個人のほうがおもしろい記事を書ける可能性がある。

実際、著者もそうやって取材してきた。大手メディアが、若者が住めもしないようなお洒落な家ばっか紹介してたときに、そんな高級なとこ住んでるやついねぇよ!!って、自分の隣のリアリティをって追求してできたのが「TOKYO STYLE」だし、

日本の珍スポットなんか誰も紹介してなかったけど、自分は興味を持ったから作ったのが「ROADSIDE JAPAN-日本珍紀行-」だ。

海外版が「ROADSIDE USA」であり「ROADSIDE EUROPE」

さいごに

この本は、もともと「こうすれば良い本が作れるようになる!」みたいなノウハウ本ではないと書いてあったが、学べることが多かった。

自分がおもしろいと思ったものを追求して、たくさんの実体験を積むこと。フットワーク軽く、誰よりも、好奇心旺盛に、世の中を、おもしろがること。

なんだよそれ!!って思うかもしれないけれど、本当に、ものをつくるってことは、そういうことなんじゃないんだろうか。自分にないもんを、表現することはできない。

都築響一、もう60歳。還暦すぎてもまだまだ好奇心全開で、ラブドール、秘宝館、ラブホ、ヒップホップ、暴走族、独居老人、カラオケスナックとか取材して「『神は局部に宿る』 都築響一 presents エロトピア・ジャパン展」とかいう展覧会まで開催しちゃってるのに、27歳の自分はいったい、なにをやっているのだ!

さいごに。金のためとかなんとか、ああ言えば上祐、言い訳して、好きでもない、クダラナイ文章を書いてる自分への戒めを。

自分が思ってもいない、信じてもいない誌面を作らされているうちに、いつのまにか自分が「思ってもなかったこと」そのものになっている。「ちょい悪おやじ」とか「プロ彼女とか」に(笑)。










ABOUTこの記事をかいた人

現代アート好きドローンライター。日中英で影響力を持つ人物になるべく瞬発力を鍛える日々です。岐阜出身、大阪芸大卒。フィリピンで英語習得後、助成金を得て渡米、NYで修行しました。執筆実績:LIG,グノシー,DRONE MEDIAなど