秦の始皇帝の愛読書!中国古典・韓非子に学ぶ処世術

三流の経営者は三国志を読み、二流の経営者は孫子を読む。そして、一流の経営者が読むのは、韓非子である。

中国・春秋戦国時代の有名人と言えば、中学生の時に習った孔子、老子、孟子など諸子百家が挙げられます。

その中でも、中国の根本を理解するのに欠かせない人物として、法家(法による統治を説く一派)の一人、韓非がいます。本日は彼の著書「韓非子」を紹介します。

動機は全て自己利益の拡大

岩波文庫で全4巻もある大著ですが、乱暴にも要点を一言で表すとするなら「人間は皆、自分の利益の為に動く」ということです。

例えば、棺桶を作る職人は、人が若死するのを望んでいます。決して彼らが道徳的に劣っているからではなく、人が死ねば、商品が売れ、お金が入るからです。

また、人は虫を気持ち悪がり避けますが、蚕を飼って大事に育てます。そこから絹がとれるからです。

人間は皆、それが利益になると分かった瞬間に、行動の原理原則が変わるということです。

このような例え話をふんだんに用いて、人間がいかに自己本位に動くかが描かれています。

だからこそ、徳とか、そんな曖昧なもので国を統治するのではなく、法という厳格なものを用いなければならないと考えたのです。

秦の始皇帝の愛読書「韓非子」

ぼくたちが中学の時に習った”矛盾”や”逆鱗”や”守株”の話も、ここが元になっています。

中国を初めて統一した秦の始皇帝は、この本を読んで「韓非に出会えるのならば、死んでもよい」とまで言いました。

三国時代に活躍した蜀の天才軍師・諸葛孔明が、劉備玄徳の後継者・劉禅に読ませたのも韓非子だと言われています。

自害に終わった韓非の生涯

では韓非自身は、彼の人生において、成功者であったかというと、そうではありませんでした。

始皇帝に気に入られ、ようやく自分の才能を発揮できる環境を得た矢先、臣下の嫉妬をかい罠にかけられて自害させられてしまいした。

生まれつきの吃音に悩み人間関係に苦しんだ反面、人間を観る能力が鋭くなりました。

人間を冷徹に見つめ、何をすればどう人が動くのかを徹底的に知り尽くしたはずの彼が、どうしてこのような終わり方をしてしまったのだろう。

「王寿は書物を背負って旅をし、周に行く道で徐憑と出会った。徐憑が言うには「事業とは人の行為である。行為はその時その時の状況に応じて始めるから、知者は固定的なきまったことはしないものだ。書物とは言葉でできている。言葉は知性から生まれるから、知者は書物をたくわえたりはしないものだ。今、そなた、どうしてまた書物を背負って旅をされるのか。(p94より)」

いくら頭で分かっていたとしても、それが固定された言葉という”情報”である以上、それをどう使うかの方がむしろ問題である。

韓非は、きっと、その応用に失敗してしまったのだと思います。

予備知識無しに読んでも抜群に面白いですが、そんな彼の悲劇的な人生を頭に入れてこの本を読むと、また違った妙味に触れられるかもしれません。おすすめです。

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現代アート好きドローンライター。日中英で影響力を持つ人物になるべく瞬発力を鍛える日々です。岐阜出身、大阪芸大卒。フィリピンで英語習得後、助成金を得て渡米、NYで修行しました。執筆実績:LIG,グノシー,DRONE MEDIAなど